外科室 読了
泉鏡花の外科室を読みました。
話の始まりは、伯爵夫人が手術の折り、何と麻酔をかけずに行って欲しい、でなければ手術は受けない、と言い出したこと。
その理由が、夫人には秘密があり、麻酔をかけられたらうわ言でその秘密を喋ってしまうかも知れないから、とのことでした。
結局いくらなだめてもすかしても駄目、ということで麻酔なしの手術が行われることになるのですが……。
読みながら、子供の頃、テレビで見た手術シーンをふと思い出しました。
確かそれも麻酔無しで女性の手術をするというものでしたが、白い肌の上、メスがすうっと滑って紅い筋が引かれていくのが、子供心に何ともエロティックでした。
その中で、
「痛うございますか」
と執刀医が尋ねていた記憶もありますし、もしかして実写化されていて、それを見たのかも知れません。
麻酔なしで手術を受ける程の覚悟、手術の途中で『やはり麻酔をかけるか』『大丈夫か』ではなく『痛いか』と尋ねる気持ちとは……と、短いながらも色々と考えさせられる作品でした。