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【書評】甘々と稲妻

甘々と稲妻(1) (アフタヌーンKC)甘々と稲妻(2) (アフタヌーンKC)


甘々と稲妻を読み終わりました。すごく面白かったです。

簡単に言えば、『母を亡くした親子と女子高生が食卓を囲む話』なのですが、それではちっとも伝わらない……という訳で、一話が無料で読めます。


一話試し読みのリンクはこちら。

甘々と稲妻 / 雨隠ギド - アフタヌーン公式サイト - モアイ


興味がある方はぜひこちらを読んでみることをおススメします。


それでは以下書評です。






登場人物の表情が素敵

つむぎと小鳥が可愛いし、登場人物の表情がとても魅力的です。もう、本当においしそうに、幸せそうに食べる。

日々のトラブルに泣いたり、落ち込んだり……くるくると表情が変わっていきます。


天真爛漫で物怖じしないつむぎ、引っ込み思案だけれど優しくて芯の強い小鳥、娘への愛情がひしひしと伝わる犬塚先生の3人で、危なっかしくも丁寧に整えられ、囲む食卓は白黒なのにそこだけ陽だまりのように感じます。




亡くしたから、欠けていたからこそ得たもの

しかし、この食卓、主人公が三者三様に欠けている、亡くしたからこそ得たものでもあります。



元々食が細く、食事自体にもあまり興味のなかった犬塚先生。当然料理スキルは低い。

食べることは好きだけど、早くにお母さんを無くしてしまい、誰かと食卓を囲むことにとても飢えているつむぎ。我慢はたくさんしているしいい子でも、当然小さいので料理なんてできるはずもなく。

食事は好きだけれど包丁が使えない小鳥。母子家庭でお母さんが大好きだけれど、そのお母さんが多忙のため、ひとりで食事をすることを強いられていました。


そしてつむぎのお母さんが亡くなってしまったこと。


これらが無かったら決して実現しなかった食事風景です。


欠けてしまったものを、以前とは違う形で不器用な3人が補っている光景にほのぼのすると共に、何とも切なく、温かいものを感じます。




余談

だんだん成長していくつむぎに、犬塚先生に父性のような恋のような気持ちを抱いていく小鳥……この辺りの描写がこまやかで良いと思います。


犬塚先生側からは特にこれといって恋のようなアクションはないですが、その辺りはちゃんと大人って感じでこれもまた良いなあと。

でも、何だか恋とかそんなのとは別に小鳥に対してはごく近い身内のような感じかなと思います(姪っ子とか親戚の子とか)。


つむぎ側から小鳥へも、親戚のお姉ちゃんという感じですね。


今のところ、小鳥からつむぎへの接し方も優しい親戚のお姉さん、くらいなものですが、その内叱ったりするシーンも出て来るのでしょうか。



この距離感がとても好きなので、三者三様にゆっくり育っていくのを見守りたいと思いました。








甘々と稲妻 / 雨隠ギド - アフタヌーン公式サイト - モアイ