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たそがれノート

日記と本と、時々Web

【書評】乙嫁語り7巻

書評

乙嫁語り 7巻 (ビームコミックス)

乙嫁語り7巻は確か発売から2~3日程度の頃には手に入れて読んでいました。

でもいつもより何か好きじゃないな……と思いました。

そしてなぜ好きじゃないんだろう、という理由を考えてもつかみどころがなく、そんな状態で書評を書く気にもなれず、寝かせておいたのです。

が、やっとその理由がわかったので、胸のつかえが取れた気分でした。

という訳で、以下書評です。 ※ネタバレを含みます。

完全に閉じた、姉妹妻の世界

今回の巻のテーマは、『姉妹妻』というもの。

子供を持つ母親同士が『結婚』に匹敵する絆を結ぶというそのしきたりは、現代風に言ってしまえばいわゆる『百合』に近いのではないでしょうか。

百合、というのは私にとって元々触れることの少ないジャンルですが、でも別段それが理由ではないな……というのは感じておりました。

が、何度か読んでてやっと気がついたのですが、今回の『乙嫁』のふたり、

アニスとシーリーン以外が完全に蚊帳の外状態だ……これが理由か!

もう完全に世界はふたりのために、という状態なのです。

スミスとアリも、アニスやシーリーンの夫たちも、子供たちもです。

閉じてしまってて、これから先の広がりとかが見えない、そういう話だから何だかあまり……という感想を持ったのだろうなあと気づきました。

要するに、私は異文化の人々の日々の生活ぶりとか、なじみのあるキャラクター(アミルやカルルクなど)の行く末が気になるのであって、今回初めてお目見えする人々の『閉じた世界』にさほど興味がなかった、ということです。

『ふたりだけの閉じた世界』というコンセプトだからであろう、今回の巻の作り

今回は、普段の作者さんに比べて絵柄は割とあっさりしています。

加えて、少なくとも、アニスの視点ではなくて、シーリーンの視点がメインであれば、もう少しは話が広がったであろうと思います。

アニスは裕福で生活に何の不安もありません。夫も優しく誠実です。子供も男の子をしっかり産んでいて、乳母もいるので宮殿の中で働かなくても良い立場。
ただ、幸せなはずなのに一抹の満たされなさは感じているのですよね。

一方のシーリーンは生活は決して裕福ではなく、たまの楽しみといえばスイカをまるごと食べることと、お風呂屋さんといった状態。

そんな働く日々の生活のことだとか、そこに現れたアニスというまるで別の世界の人との落差のことだとか……『シーリーンの目線から』であれば結構話の広がりはあったかと。

そこをあえてアニスという働く必要のない、まるで少女のような乙嫁を据えていることに加え、一目ぼれのような形でシーリーンにのめりこんでいる心理状況。

さらに絵柄も変えることで、これまでの乙嫁語りとは違う『閉じた世界』を全体できちんと作ってあるんだな、ということに気がつきました。

そう考えれば、ふたり以外の登場人物の蚊帳の外ぶりといい、物語中ででてきた『胡桃』もそれを暗示しているのではないかなあと。

今回の話は乙嫁語り全体でもちょっと扱いが異なるのかも知れませんね。

と、そんな感想でした。ここまで思い至るまでがとても長かったです。

また、巻末にはサニラ(カルルクのお母さん)夫婦の話が載っていて、書き込みが違うな……! ということを再確認しました。

さて、次回はパリヤさんというふたたびなじみの人がメインのお話になるということで、楽しみです。