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本に払うお金は『時間を買う』お金

yuki3mori.hateblo.jp

物心ついた頃にはもう本屋さんの絵本コーナーにへばりついているような子供で、もちろん今でも本は大好きなのですが、『本の何に対してお金を払っているか』というのはきちんと考えたことがありませんでした。

あれこれ考えた末、私の場合は要するに『時間を買っている』という認識だという結論に。とはいえ、『時間を買う』と一口に言っても実は色んな意味がありまして、今回はそういう話です。

『楽しい時間』を買う

この動機、ほとんどの読書に当てはまるのではないでしょうか。「面白い」とか「楽しい」とか「装丁や表紙、絵や写真が綺麗」「興味がある」他、要するに『楽しい時間』のためにお金を払っています。

どんなにためになっても興味もない、つまらない、読むのが苦痛な本にお金を払う程酔狂ではないのです。

『本を作る人の時間』を買っている

本は要するに紙とインクです。電子書籍はデータ。

本を構成する物質そのものには、価値はあまりないですよね。そこに載っている『情報』こそが最も重要な訳で……。

情報料という意味合いも大きいですが、本の価格の大部分は『作る人の時間』*1です。そこにお金を払っている、という認識。

文字通り『時間』を買う

インターネットでかなりの部分の知識はフォローできるようになりましたが、その情報は玉石混交です。

その点本はある程度情報がまとまっていますし、出版社が出しているものであれば、著者、編集者、校正、他さまざまな人の手を経ているので、基本的にはある程度情報の信頼性もあると考えます。

『ある程度は信用できる、体系立ったまとまった情報』というのはインターネットで探すには結構時間がかかる場合もありますし、それくらいなら本屋で見て良さそうな本を買った方が早いです。

なので、『急いでこの分野の情報を勉強しないといけない』という時は私はインターネットより本。その方が時間の節約になると思っています。

Web製作系の情報など、移り変わりが激しくてインターネットの方が情報が新しいというものも多いですが、それでも基礎部分に関してはさほど大きな変化がない場合も多いです*2

『他人の人生という時間』を買う

これも、本を買う大きな理由のひとつです。

たとえば、フルマラソンに興味があるとして、いきなり身体を鍛え始めて出場を目指すより、フルマラソンに挑んだ人の手記なりを読んだ方がより理解が深まるし、自分も出場したい、というモチベーションに繋がるのではないでしょうか。

また、『ラスベガスに行って大儲けをするという体験』をしたいとして、それは経験できるとは限りません。どちらかというとスッテンテンになる可能性の方が高い。だったら、『ラスベガスで大儲けした人のエッセイ』を買った方が確実です。

異文化に興味があっても、いきなりそこに飛び込まず研究書や資料を読み込んで行く方が色々スムーズでしょう。

他、エベレスト登頂の手記を読んでその苦労や道のりを追体験したり、裸一環から事業を興して成功した人や、はたまた異世界で魔法を使うフィクションや、英雄譚、神話、有名人や偉人の人生の記録……などなど。
全部体験しようと思ったら命と身体と運がいくつあっても足りないものや、そもそも体験不可能なものまで『読む』という形で追体験できます。

これは、平たく言えば『他人の人生という時間を買っている』ということです。

さいごに

私はこれからも本を買うでしょうし、それはさまざまな『時間』に支払っているという感覚があります。

そういったさまざまな『時間』を得る対価として支払うお金はちっとも惜しくないし、むしろ喜んで払っています。

歳を重ねて、シンプルライフを目指して身辺の整理をしていく内に、ますますそういう意識が強くなってきたようです。

*1:労力=時間という意味合いもある。

*2:たとえばhtmlのごく基本的な書き方など