トワイライツ・ノーツ

読書感想と自転車と雑記

本の『自炊』について思うこと

紙の本を「デジタルデータ」に変える 「自炊」代行は違法なのか?

http://blogos.com/outline/63331/


この問題ですが、消費者の立場からすると電子書籍を購入する際、



  • あらゆる端末・環境で読めるか。

  • 形式やサービスの終了による影響が少ないか。

  • 長期間経過後どうなっているのか。


が気になるのですよね。

例えば、Renta(http://renta.papy.co.jp/renta/)という電子貸本のサービスを時折利用していますが、このサービスが終了したらせっかく購入した本が読めなくなってしまいます。

なので、結局『ちょっと読みたい』程度の本についてしか電子書籍は利用していません。

おおよそ9割以上紙の書籍を購入しています*1


ダウンロードの電子書籍としては、最近はEPUBなどの形式が普及していますが、少し前は特殊な(そのサービス独自のソフト等を使わないと読めない)ファイル形式を取っている電子書籍もありました。



電子書籍を購入しようとする度に、『この形式は100年後でも見られるのか?』という面で迷う訳で、その点では紙が最も確実ではあります。


また、紙の本を既に持っている場合、同じ本を電子書籍で買うのはもったいなく感じてしまいます。


更に、絶版本や電子書籍化する目処が立っていない書籍などはどう扱えばいいのかな?ということも気になります。


それらのことを考えると、未だ『自炊』してスキャナーで取り込み、画像ファイルをzipファイルにまとめてしまうのが最も利便性が高いという話になってしまいます。

もちろん、お金や手間はかかりますけど、『その本を読める状態でずっと手元に置いておきたい』という希望を優先するなら、そうならざるをえないのですよね、現状。


そういった利便性や長期視点での保存の不安、更には手元に既にある本のこと、絶版本や電子書籍化の見込みがない本など、まだまだ解決策が出ていないようです。


複製ができるので品切れがない、インターネット環境さえあればどこにでもすぐ届く*2、紙の書籍とはまた違った表現ができる等、魅力的な存在ではあるのですが、それに比して出版業界はあまり対応し切れていないのだなあという印象です。



以前自炊関連で、


佐藤秀峰の日記『自炊代行について。』 - 漫画 on Web

http://mangaonweb.com/creatorDiarypage.do?cn=1&dn;=32817


を読んだのですが、こういった訴えを起こすよりも、せっかく新しい販売方法の芽があるのだから、それに合わせてどうやったら儲けが出るのか、うまく利用できるか模索する方が建設的なのではないでしょうか。


紙の書籍ではできなかった表現方法も実現できるかも知れませんし、宣伝として一巻無料購読などのキャンペーンもやりやすい。売るための可能性は広がっています。


ビデオのコピーガード外しに代表される不正コピーや、海賊版の横行など気になるところですが、その辺りはどんな技術を開発・投入してもいたちごっこです。

ただ、それこそ自炊がいらなくなる程正規の電子書籍が便利かつ安定したものになれば、大方の人はそちらを購入するとは思うのです。






*1:シリーズ作品の無期限発売延期(つまりお知らせのない打ち切り)を多数経験してきた筆者なりの自衛策。実は10年以上未だに続刊を待っている作品も……そうこうしている内に既に新書では入手できなくなったことを知り、筆者は色々と悟って哀しみの淵に沈んだ。

*2:ただし、この『複製・配布が簡単』が一番のネックにもなっている。