『後で見る』は忍び寄る
学生の極度に少ないワーキングメモリー(井川博行)
http://www.chem.kanagawa-it.ac.jp/ikawa/w-mem1.htm
と、それに関連して、
インデックス一覧
http://www.chem.kanagawa-it.ac.jp/ikawa/
で提示されているものを読みました*1。
ワーキングメモリについて簡単に説明すると、脳の短期記憶のことです。おおよそ30秒程度で失われる記憶のことを指すようで、よく机に例えて説明されることが多いですね。
例えば机があるとして、机の広さが大きければノート、たくさんの教科書、ハサミ、辞書、たくさんのペンが入った鉛筆立て、糊など必要な道具をぱっと手に届くところに置いておけます。
でも机が小さいと、せいぜい一教科の教科書とノート、筆箱くらいしか置いておけません。辞書が必要になれば立ち上がって背後の本棚に取りに行って調べないといけないし、ハサミが必要なら引き出しから引っ張り出さないといけない。
……という状況を考えると、散らかっていない限りは(そして必要なものがきちんと机の上に出ている限りは)机の大きい人の方が作業効率は上になります。
多分、というか確実に私もワーキングメモリが少ない人間なので(何かひとつのことをやっていると、色々忘れてしまうか反応できない)、へえ、と思いながら読んでみました。
鍛える方法については、以下のようです。
- 良質の本を読む*2。
- 簡単な数学の文章題を『聞かせて頭の中で解かせる(メモは禁止)』。
- 三題噺の5話作りをする。
- 朗読をする(特に初見の文書は負荷が高い)。
どれも、『直前の情報を脳内に留めながら別の作業をすること』ですね。
やって悪いことはないので、やってみようと思います。
ただ、まあ、何というか昔のラジオしか情報源が無かった頃のことにもほんの少し触れられているのですが、その頃に比べたら『その場で情報を覚えよう(理解しよう)』という意欲は(私含めて)薄くなりつつあるのが世の流れだなとは思います。
『調べればわかる』ものですし後で見ることも可能です。録音や録画など『外部記憶』がありますから。
しかし、『後で見ればいいや』というのはその場その場でしっかり目の前のことを見ていないとも言える訳で。
日頃の自分の生活を顧ると、まさにこの『後で見れば(調べれば)いいや』によって成り立っているので、怖くなります。
『正確に素早く記録すること』にかけては人間は機械に敵わないですが、だからといって何でもかんでも『後で見ればいいや』にしてしまうとそれは怠惰に繋がります。
少なくとも、『考えること』に関しては怠惰ではいたくないなあと思います。楽しいですし(だから『汝は人狼なりや?』が好きなのかも知れないです)。なので、その土台になるワーキングメモリや記憶力に関しては何とか底上げしたいところですね。
*1:ところで、筆者ははてブのホッテントリに入っているのを見てこのページを知ったのだけれど、こういったページはどうやって見つけるのだろう。元々の神奈川工科大学のトップページからここに直接繋がりそうなページはざっと見なかったし、飾り気の無さから極めて学内向けのページという印象を受ける。
*2:リンク先では『アトキンス物理化学要論』がおススメされている。理系知識ゼロの筆者には多分読んでもわからない。