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【書評】Kindleのまとめサイトでどうにかこうにか1000日間生計をたてた話 #きんどう本

Kindleのまとめサイトでどうにかこうにか1000日間生計をたてた話

遅ればせながら、きんどうの中の人zonさんが書いたKindleのまとめサイトでどうにかこうにか1000日間生計をたてた話 の書評です。

タイトル通りなのですが、kindle本を売り続けて1000日食ってきたzonさんが、電子書籍を売るためになにをしてきたか、そしてこれからどういう展開をしていくのか、を書いた本です。

私はきんどうのサイトやzonさんの動きを見ていて本の即売会のような、いい意味での手売り感を感じていたのですが、本を読んでみてその印象と違わなかったな、と思いました。

という訳で以下書評です。

現状で電子書籍を売るには一体どうすればいいのか

これに関してですが、以下引用の部分に尽きます。

紙の本なら本屋に行けば新刊かどうとかわかりますが、電子書籍派ストアを見ただけじゃほとんどわかりません

何が発売されてそれがどういう作品なのか、そんな書籍そのものの情報を知ってもらって興味を持ってもらえさえすればそれだけで差別化できるので自然と数字につながります。つまり「読者への情報提供を徹底する」ことを目指してとにかく効率よく話題になるメディアを作れば電子書籍は売れていきます。

まとめサイトとか、コピペサイトとかは嫌われていますが、それとは違って本来の意味でのキュレーションは、情報がこれだけ氾濫している状況では有用です。

ただ、人力でやると大変な手間と根気が必要になりますが、zonさんはそれをやり切ってる様子です。

あとは中の人感を出してファンになってもらう。

『だけ』と言ってしまえばそれまでですが、とても簡単で楽ちんという方法ではなく、泥臭くコツコツと進めていく手法です。

出版社のメディアの作り方

基本的には上と同じ路線で、とにかく露出する機会を増やす。作家にも協力してもらう。編集者も協力する、というのが柱になってくるようです。

しかし現実にはそこまでやるところはなかなか少ない。

本や、日ごろのtwitterなどを見ていると、「もっと熱くなれよ! もっとできることあるよ!」というzonさんの歯がゆさみたいなものが伝わってきます。

実際、Kindleはぽちぽち買っている私、出版社からのアピールを感じたことはほとんどありません。紙の発売日から電子書籍化がだいぶ遅かったりする本も多々あるので、出版社が電子書籍にあまり熱心じゃないのかも、と思うこともあります。

個人的には一緒に発売してくれるなら、日付が変わると同時にダウンロードがはじまる電子書籍の方が早く読めて嬉しいんですけどね。

電子書籍をなにがなんでも売る! という意気込みのある人には特におススメ

zonさんの言っている「売らねば死ぬ」ではないですが、そのくらいの情熱がある人には有用な本ではないかと思います。方法論自体はシンプルなので、方向がズレていないかなとか、モチベーションが落ちてきた……というときにも役立つ本ではないでしょうか。

私のように電子書籍に対して比較的ライト(でもなくなってきた気がするKindle沼につかりつつある)なユーザーにとっても、普段感じている状況(とにかく情報が入りにくい、出版社からのアクションが薄い)と合致するものがあり、また実際に売り続けている人の手記なので面白いです。

まとめ

この本を読んでいると、きんどるどうでしょうみたいなサイトがたくさんできて、こういう本を読みたいからこっちのサイト、こういう本ならこのサイト、このサイトの中の人とは本の趣味が合う……という風に、いくつも情報の入り口ができると便利になるなあと夢が膨らみます。イメージ的には、個性豊かな個人書店がいっぱい、みたいなイメージ。大型書店をあてどなくさまようのも大好きですけど、ジャンル分けしてあると嬉しい。少なくとも大型書店は個人には無理でしょうし、そこは出版社が腰を上げてくれることに期待……。

残念なことに、現状では電子書籍業界はあまりよい先行きを聞かないのですが、ぜひ盛り上がってもらいたいし、とにかく! いっぱい! 豊富な品揃えの! 本をください! というのがいちユーザーとしての望みです。

これからもきんどうが続いていくよう応援しています。

本の中の質問に答えてみる

全部拾いきれていないかも知れませんが、ここで答えておきます。

Q.あなたがファッション誌の販売担当ならどんなメディアを立ち上げますか?#きんどう本

A.占い+服や化粧品をセット販売するメディア。
ラッキーカラーで服の色を決めたり、ラッキーアイテムを取り入れたりする人って結構いるので。マンネリだなあ、なんかちょっと変えたい……という人もとっつきやすい気がします。
そういうときに今週とか今月とかのスパンでラッキーカラーやラッキーアイテムを提供するって結構使えるのでは。ちなみに会社帰りとかにコンビニとか最寄のお店で受け取れると楽ですけど、できるのかな。

 

Q.クリエイターがプロモーション活動をすることについてどう思います?#きんどう本

A.良い塩梅なら一生懸命だなと好感を持ちます。やりすぎるといやらしく映りますが。あと「買ってくれないと今月の電気代が払えません」とかいう系統は……重たいのでちょっと手を出しづらくなります。

Q.この三年であなたは紙の本、もしくは電子書籍どちらをたくさん買うようになりましたか?#きんどう本

A.電子書籍
どれだけ持ち運んでも重量が増えない、部屋の中で場所を取らないというのが便利で手放せません。
以前は出掛けに毎回「どの本を持っていこうかな」で下手をすると何十分も迷ってしまっていたのですが、今はiPod touchを充電さえしておけばOKなので楽です。あるんですよね、今、この瞬間、あの本が読みたいというのが……不意のことなので厄介です。
既に既刊を紙で買っていたり、紙で持っていたい本というのもちょこちょこあるので、完全移行はしていません。

Q.今、キンドルが日本に来たばかりの時ならまとめサイトを作りたいと思えますか?#きんどう本

A.とにかく読みたい! が優先になるタイプなのであまり思わないのでは。
本を紹介するメディアのために本を読む時間が減る……というのは厳しいです、個人的に。読む方に軸を置いていて、紹介して売るタイプではないようです。

Q.電子書籍が専門のブログを本気で作るならどんな仕組みで勝ちを狙いますか?#きんどう本

A.自分なら、ですが本の設定集などの情報を読むのも好きなんですよね。書評を書いてもこの通り長くなりがちです。
だから本の参考文献とかもずらーっとまとめておいたり、許可が取れるのであれば本の中の用語集を作ってみたり、インタビューして設定を深く掘り下げてみたり……少数の好きな本のことをディープに、それがどうやって作られているかを紹介していく感じになるかと思います。好きな小説の設定とかわくわくしませんか? 私は大好きです。設定が薄いとなんとなく不満なこともあるくらいです。

Q.キンドルで今、何冊くらい積んでます?それは読み切れそうですか?#きんどう本

A.3冊でした。
もののけ解題 おろちの棲処人工知能は人間を超えるか「いつのまにか」の描き方: 映画技法の構造分析です。
たぶん読み切れますが、読むのに少しだけ気合いがいるのと、新しい本を読むのを優先していたので延び延びになっています。どれも読み出せば面白いんですけど、そういう本がたまにあります。
基本的に読みきれない程の本は買わないので、積読はあまり発生しないです。

Kindleのまとめサイトでどうにかこうにか1000日間生計をたてた話
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