トワイライツ・ノーツ

日記と本と、時々Web

【書評】2017年に買ってよかった本 コミックから小説、ビジネス・実用・その他まで

今週のお題今年買ってよかったもの

今年を振り返ると、特段これといって大きな買い物はしていないのですが、例のごとく漫画や本はそれなりに読んでいたので、買って良かった本をリストアップしてみることにしました。
※基本的にはkindleで買っているのですが、中には紙の書籍もあります。

コミック

オリオリスープ

オリオリスープ(1) (モーニングコミックス)

オリオリスープ(1) (モーニングコミックス)

最近4巻で完結しましたが、最初から最後まで好きな作品でした。
基本的なあらすじは、主人公の食いしん坊のブックデザイナー・原田織ヱが美味しそうな汁物を食べ、他の人と関わっていくというもの。
大好きな祖父の死以降、やや自暴自棄なところも見られた彼女ですが、少しずつ自分や周囲の人と向き合っていきます。
料理の描写が美味しそうで、また描きおろしの捨遺なんかも読んでいて楽しい、素敵な漫画でした。

不滅のあなたへ

ファンタジー。
不死の存在の『フシ』は、様々な人々や生き物と関わり、彼らの死と引き換えにその姿を写し取り、成長していきます。
少しずつ自我が育ってきたフシですが、死と引き換えに関わった人の姿や能力を得るということに苦しみ、そしてそれを奪おうとしていく存在と戦うことを強いられます。姿を奪われると、その人のことも忘れてしまうのです。
不死のフシと違って他の登場人物たちは……というところを考えるととても悲しい。
色々と謎の多いお話ですが、この先どうなっていくのか楽しみです。

ALL OUT!!

高校生ラグビーの漫画。
あまりスポーツ漫画は読まないのですが、話の展開や登場人物の書き込み方に引き込まれて、たぶん10回以上は繰り返して読んでいる気がします。
一応、主人公は背の低い新入生・祇園健次なのですが……練習試合をした際に言われた「ボールを持ってる奴が主役なんだ」という言葉通り、他のキャラクターも主人公並みに書き込まれているように思います。
よくありがちな『すごい才能を持った新人が強敵をどんどん倒していく』という話ではなくて(もちろん成長はしているのですが)、周囲と協力することの大切さやそれが生み出す力に重きが置かれているようですし、また対戦相手の心情や設定などもとても細かい。
どの登場人物も可愛いしかっこいい。
まだまだ続きそうなのですが、試合の結果がどうなるか、知りたいような知りたくないようなそんな作品です。なにしろ全ての試合が終わったら三年生、卒業してしまいますから……。

ゆるキャン

女子高生たちのキャンプ漫画。
実は作品舞台は結構知ってまして、なんとなく親近感。
タイトル通りゆるい感じかと思いきや、道具の描写は細かいし絵もシンプルな線で綺麗。
なにより登場人物がみんな可愛いです。なでしこはとっても犬っぽい。
今はオフシーズンの冬のキャンプがメインですが、その内他の季節にもキャンプに行く予定らしく、続きが楽しみです。
今月出る5巻(ゆるキャン△ 5巻 (まんがタイムKRコミックス))もばっちり予約済です。

アニメタ!

アニメーターの仕事漫画。
主人公は新人アニメーターの幸ですが、実力的に使い物にならない、というマイナススタート。
元アニメーターの作者さんが描いているためか、アニメーターという仕事の現実があれこれと描かれており……あまりに過酷だなと思います。
ときどき、アニメーターの方の薄給問題というのがインターネットで持ち上がりますが、これではまず食べていけないし育つのも難しいはず……。
それを成り立たせているのは結局のところアニメに対する愛という他ないのですが、問題は山積みです。
愛と根性だけでは届かなかった壁が主人公の前に立ちふさがりますが、今後の展開が楽しみです。

小説

狐笛のかなた

狐笛のかなた (新潮文庫)

狐笛のかなた (新潮文庫)

昔の日本のような国で繰り広げられるファンタジーです。
産婆の祖母に育てられている少女・小夜、屋敷に閉じ込められている少年・小春丸、敵国の呪者に使役されている霊狐・野火が中心となって展開していきます。
要約すれば恋と解放の物語なのですが、自然や人の感情に対する濃やかな筆致が読んでいて引き込まれます。

鹿の王

鹿の王 1 (角川文庫)

鹿の王 1 (角川文庫)

民族調のファンタジー。
病と生と死を巡るというか、読んでいると自分の身体の中に居る微細な生物やそれぞれが奇跡的なバランスを保っているんだなあ……と感じます。
食べ物や自然描写はやはり圧巻。
暇さえあれば何度も読み返してしまいます。

楽園の魔女たち

それぞれのっぴきならない事情で、魔法使いに弟子入りした4人の少女たちと師匠のお話。
テンポのいい文章と展開、しかし徐々に明らかになっていく大きな謎……と今読んでも文句なしに好きです。
このたび、待望の電子書籍版として復活。読み返して、懐かしさにちょっと涙が出そうでした。
実は地味に電子書籍化要望出していたのですが、少しは貢献できたのでしょうか。

パンドラの少女

パンドラの少女

パンドラの少女

いわゆる、ゾンビもの。
未来、大量発生したゾンビにほとんど壊滅させられた人類ですが、一部特殊なゾンビの子供たちを『教育』できる可能性があり――というのが話の筋です。
ゾンビの少女メラニーは大変聡明で、先生が大好き。けれど薬がないと人間に対する強烈な捕食衝動を抑えることが難しく……「噛んだりしないよ」という彼女なりのジョークが痛々しい。
最後はそう決着するのか、というエンドが用意されており、そこまで含めて楽しむことができました。
映画化もされているようなのですが、そちらは観たことがないです。

アイの物語

アイの物語 (角川文庫)

アイの物語 (角川文庫)

衰退してしまった人類と、それに敵対するアンドロイドという世界のお話。
昔の物語を蒐集している語り部がアンドロイドに捕まってしまいますが、傷つける意図はなく、ただ架空の物語を聞かせたいだけ、と言われるところから始まります。
語られる物語を通して徐々にアンドロイドの意図が明らかになっていく――という話なのですが、結末が美しいと思いました。
夢がフィクションを作り出し、それを引き継ぐものがいて壮大な計画を実行しようとしているという流れがとても良かったです。

ビジネス・実用・その他

問題解決大全――ビジネスや人生のハードルを乗り越える37のツール

読書猿Classic: between / beyond readersという、勉強法とか思考法とかそういったことを扱っているブログの方が書いた本。
内容はタイトル通りなのですが、歴史の紹介もありコラムとして読んでもかなり面白い。
リニアな問題解決とサーキュラーな問題解決というのは気づかなかった視点でした。
実は前作のアイデア大全――創造力とブレイクスルーを生み出す42のツールも買ったのですが、私はアイデアを出すよりも『今ここにあるこの問題をどう解決するか』という方が好きなようで、こちらの本の方が現状は私には合っていそう。
イデア大全は問題解決を考える上でアイデアが必要になったら参照できるかなあとも思うのですが。

Photoshopペイントメソッド

Photoshopペイントメソッド

Photoshopペイントメソッド

Photoshopでアナログ風のイラストを描くには、という技法解説書。
ブラシの設定やマスクなど、手順が丁寧に載っていて、Photoshopの使い方を勉強するのにとても役に立ちました。
「えっこれ途中でどうやったの?」「なんでこうなるの?」がほとんどなかった本で非常に見やすかったです。

Cooking for Geeks ―料理の科学と実践レシピ

Cooking for Geeks 第2版 ―料理の科学と実践レシピ (Make: Japan Books)

Cooking for Geeks 第2版 ―料理の科学と実践レシピ (Make: Japan Books)

美味しくなる科学的な原理や由来なんかをあれこれ詰め込んだ料理技法書……という感じ。
レシピももちろん載っているのですが、一般家庭で全部作れるものではないにしても、食事に興味のある人ならコラム的に読むとかなり面白いです。

発酵の技法 ―世界の発酵食品と発酵文化の探求

発酵の技法 ―世界の発酵食品と発酵文化の探求 (Make:Japan Books)

発酵の技法 ―世界の発酵食品と発酵文化の探求 (Make:Japan Books)

発酵について取り扱っている本。
私は甘酒を作ったり、ヨーグルトを作ったり、鹿の王 1 (角川文庫)人とミルクの1万年 (岩波ジュニア新書)で発酵食品に興味を持ったので手に取ってみました。
読んでいると色々実験してみたくなるのですが、今のところ場所がないのでちょっと難しい。
それでも読んでいるだけで楽しい本です。

デザインの仕事

デザインの仕事

デザインの仕事

デザインという仕事について、寄藤さんが考えていることをつらつらと話している本。
寄藤さんといえばブックデザインもやっていらっしゃる方で、シンプルな絵に大きな文字、という感じの装丁を何度か見かけた記憶があります。
絶対の正解のないデザインという仕事を続けていく中で、どういう意図で仕事をしてきたか、そしてこれからどうなっていきたいのかといったことが割合に率直に語られていて、読んでいて素直に面白くて興味深い内容でした。

「箇条書き手帳」でうまくいく はじめてのバレットジャーナル

最近あちこちで言われる「バレットジャーナル」の一番シンプルなやり方を解説してる本。
このバレットジャーナルですが、「何でも一冊のノートにまとめてしまう方法」と言えますが、やり方はとてもシンプルだし好きにして良いのです。
普通のノート一冊でできるので、使いさしのノートでもなんでも、手元にあるものから始めてしまえるのが気楽です。
昔から手帳を使うのがどうもうまくいかないタイプで、現在はマンスリーの一番シンプルな手帳にしていますが……それだとたまに書ききれないことがあります。
今つけているのはスケジュールと行った場所、食べたもの記録などですが、その内読書記録も付けられたらいいなあ。
という訳で、年明けからはマンスリーの手帳に普通の手帳を合体させてバレットジャーナルとして使っていこうかなと思っています。

新版「願いごと手帖」のつくり方

新版「願いごと手帖」のつくり方 ー 書くだけで運と幸せが集まる

新版「願いごと手帖」のつくり方 ー 書くだけで運と幸せが集まる

願いごと手帖とはなにか? というと「こうなったらいいな」をひたすら手帳に書き留めておく、ただそれだけ。
別にオカルトではなく、たとえば『素敵なカップが見つかる』と手帖に書いておいて実際に見つかったら、「嬉しい」って気分になりますよね。
書かなかったとしてもカップは見つかったかも知れませんが、それだとそもそも「素敵なカップが欲しい」という気持ちに気づいていなかったかも知れません。そうやって自分がしたいこと、欲しいものに気がつくきっかけにし、叶ったら素直に喜んで楽しい気持ちになる。そういうものです。
実は改定前の本も買っていて、その頃はりきって願いごと手帖を作って……で、『叶わないじゃないか』と1年ほど忘れてました。久しぶりに開いてみたら、あれっ結構叶ってるなとなかなか楽しい気分に。
脳科学の観点からも理にかなっているらしく、そういったコラムも含め以前のものよりかなり書き足されています。

ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の大百科事典

ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の大百科事典

ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の大百科事典

ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本の辞典版。もうちょっと色々説明が加えてあったりして相変わらず読みやすいです。
おかげで英語は矢印、というのは段々理解できるようになってきましたが実践となるとまた話は別で……。
英語のハードルをぐーんと下げてくれる本なので、ちょこちょこと手引き代わりに読んでいます。

まとめ

という訳で、今年買った本の中で特に良かった本でした。
今年は色々な環境の変化があったためか、コーディングよりはデザインとか絵の方に興味がいっているような気がします。
あと料理とか、記録をすることだとか。
徐々に読む本が変わっている部分と、まったく変わらない部分と色々ありますが、変化しているようです。

ちょっとでも面白そうという本がありましたら、年末のお供にお手に取ってみてはいかがでしょうか。

ニコニコ動画について、約10年弱のプレミアム会員の備忘録

ここしばらく、どうもニコニコ動画が不穏

niconicoサービスの基本機能の見直しと今後に関して|ニコニコインフォ

私はというと、たぶん今は珍しいニコニコ動画のプレミアム会員です。

プレミアム会員である理由は、単純に画質・読み込み速度・広告の非表示といったところを求めているからで、正直動画以外のサービスはほぼ使っていません。生放送やアニメもほとんど見ないので、本当に動画だけという感じ。

一般会員の不便さを考えると、月額540円……まあスタバの期間限定フラペチーノを月一回くらい、我慢しますねって感覚です。
主に見ているのはゲーム実況、TRPG関連で、テレビのような扱いです。

四捨五入すると10年程ニコニコ動画を観ていますが、youtubeと比べると、

  • タグ検索やランキング、マイリスト等の使い勝手
  • 全画面表示したときに動画サイズをブラウザ依存にできる
  • 動画上に流れるコメントという便利さ
  • ニコニコ動画の投稿者で好きな人がいる

……という要素のために使い続けてるんだろうなあと思います。

最近のニコニコ動画の使われ方

ニコニコ動画の方には低画質な動画をアップしておき、youtube等の外部サイトに高画質版として誘導……というケースがかなり多いです。
ここから推測するに、入り口はニコニコ動画でも最終のアクセスは外部サイトに流れている訳で、トンネルのように使われている気がします。

何故そのようなことが行われるのか

原因としては以下の二点がメインだと思われます。

一般会員の場合、この現象は更に顕著です。
以上の動画サイトとして致命的とも言える安定性のなさが外部サイトに流れてしまう原因です。

こういう使われ方をしていると、サーバ等の容量は使われるのにアクセスは外部サイトに流れてしまうので、ニコニコ動画にとってメリットは薄いでしょう。

余談:ニコニコ動画のコンテンツの質は落ちたのか?

動画の質そのものの平均値は、昔と比較してむしろ上がっているのではないでしょうか。

画面の見やすさを考えて構成・配置してくれている投稿者も多いです。

画質の面でも昔よりはエンコードの技術が広まっているようで、上がっているように見えます。

音量調整についても大失敗という動画はあまりないです。

おそらく、先人の試行錯誤の結果投稿者自身も目が肥えているのでしょう。

下ネタが流行っているのはまあ今に限らずだしなあ……。

ニコニコ動画は一体どこで失敗したか

これは色々なところで言及されていますが、概ね以下になるのではないでしょうか。

  • ユーザーの望まない方向に突っ走り続けた
  • 小手先の機能追加や変更、イベントを続けた結果、本来割くべきリソースを食いつぶした
  • マネタイズの方法を真剣に模索しなかった(赤字がネタじみた雰囲気で扱われている面から、私はそう受け取っています)

『動画サイト』という本分を外れさえしなければ、それで良かったんじゃないかなあと思います。
おおよそ10年ほどの世間の流れを振り返ってみましたが、動画サイトそのものは伸びていく分野だったので、うまく乗れれば成長できたはずです。

サービスをのぞいてみれば、ニコナレ、RPGアツマール、ブロマガ、ニコニコニュース、ニコニコ立体等と色々並んでいますが、正直こういうのは『動画サイト』の本分ではないような気がします。

今後ニコニコ動画はどうすべきか

個人的には以下のように考えます。

『動画』に直接関わりの薄いサービスを切る

既にサービスを使っている人もいますが、動画へのアクセスに貢献しないサービスは停止することも必要なのではないでしょうか。

結局、いくらKADOKAWAがついていたとしても資金力には限界があるのですから、肥大し過ぎたコンテンツは整理が必要です。

画質と動画読み込み速度については無料会員とプレミアム会員の差を無くす

資金的に難しいのかも知れませんが、会員の大多数は無料会員です。

無料会員に広告が出ることは仕方がないとしても、動画サイトの本分の部分については全員に開放していかないと、別のサイトにアクセスが流れるだけになると思います。

画質でyoutubeに並べとまでは言わないのですが、一般会員の酷い画質と読み込み速度が改善されるだけでもだいぶ変わるのではないでしょうか。

権利関係の線引きをわかりやすくし、投稿者がよりコンテンツを投稿しやすくする

ニコニコ・コモンズという動画用の素材等を投稿するサービスがあるのですが、この中に公式素材というものがあります。
commons.nicovideo.jp

それから、許諾楽曲というものも実はあって…
license-search.nicovideo.jp

これらは公式の権利者が『このコンテンツはニコニコ動画内で使用してもOK』と許可を出している種類のものです。
今は著作権について、かなり注意が集まり始めてきました。

こういった権利関係をニコニコ動画の方で明確にしている作品が増えれば、投稿者も安心してコンテンツを作ることができるのではないでしょうか。
例えば『ニコニコ動画内であれば実況可能な人気のゲーム』や『素材として使用可能なアニメ・音楽』等があれば、投稿者にとっては強い動機付けになると思うのです。

そうやって面白いコンテンツが投稿されれば、結果的には利用者も増えるかと思います。

まとめ

という訳でつらつらと述べてきましたが、結局のところ下記が改善点なのではないでしょうか。

  • 動画サイトとしての本分を思い出そう
  • 投稿をしやすい環境を整えよう
  • リソースを適切に振り分けよう

色々ありますが、面白い動画もたくさんありますし、ニコニコ動画の終了という形でそういったコンテンツが消えてしまうことのないように祈っています。

【お題】見知らぬ誰かにボトルレターを書くように

今週のお題「私がブログを書きたくなるとき」

私がブログを書くときは、ほとんどが『記録のため』と『考えを深めるため』です。
人間の記憶はあてになりません。時間が経てばなおさらです。そういう訳で、少しでも記憶が鮮明な内に書き残しています。

ただ、それだけなら個人の日記帳でもなんでもいいですし、あえてブログという形態を選ぶ必要はないように思われます。
あえてブログで書く理由としては、自分の書いたものをインターネット上の誰かと共有したい、という欲求に行きつきます。

私は人付き合いをしたいという欲求が薄い方で、それよりは自分の趣味や興味に没頭する方を好む性質です。
これは子供の頃からそうで、たぶん、あまり変わることはないように思います。

一方で、インターネット上で人と話したりやりとりをするのは嫌いじゃありませんし、むしろゲームなどをわいわい一緒にやるのは好きです。
オフラインの人付き合いにはさほど興味がないのに、ネットでの付き合いは割と好きというのは矛盾しているようですが、なんとなくそのくらいの距離感がちょうどいいようです。

オフラインから始まる人付き合いだと、『近くに住んでいる』とか『同じ会社に勤めている』『同じ学校に通っている』という、個人の趣味嗜好に関係のない雑多な属性の人々と付き合っていかなければならないことが多いのですが、インターネット上だとそもそもの『趣味が同じ』であるとかそういうところが起点になることが多いので、気が楽なのも大きいと思います。

ここで最初のお題に戻るのですが、つまり私のブログにたどりついて読んでくれる人というのは、インターネットの性質上、ある程度取り上げているトピックに興味がある人、ということになるはずです。
しかし書かなければ、記事にたどりついてくれるということはありえません。

つまるところ、私が書いた記録や考えが興味のある人や未来の自分にボトルレターのように届けばいいかな、という感じで、私からは読み手の顔が特に見えなくても構わないのです。
誰が読んだか、読んでいないか、そういうことに関係なく私はブログを書くだろうし、もしそれが紹介した本を手に取ったり、どこかに訪れたくなったり、なにかを思ってくれたりするきっかけになればいいかなあという感じです。

疲れ果てていた退職後から未払残業代請求するまで回復した経過の覚書

ようやく一番の懸案事項に少し目途が立ちそうということと心身共に落ち着いてきてほっとしているのですが、疲労や回復にも段階があるみたい、ということで経過を簡単にまとめてみようと思います。
時給500円台でこき使われていた未払残業代の件も徐々に進んできました。

退職後から今に至るまでの経過

7月

  • 色々あった*1前社を辞め、慢性的に体調不良の状態。
  • 未払残業代もあり、その件を片付けなくてはならず、気分が重たくなる
  • なるべく早く転職をと思い並行して転職活動
  • 何十社とお祈りメールが届き、三十路過ぎという年齢も重なり、「もう転職は無理なのか……」と精神的にもダメージ。

この時期は体調不良も相まってとにかく悲観的になっていました。

また、未払残業代について色々調べたり労働基準監督署ハローワークを往復していたのですが、これも精神的・時間的にかなりの負担でした。
そもそも、本当に未払の残業代は正当なものなのか?
間違いはないのか?
私の能力不足であれば請求すること自体駄目なのでは?
等々、迷いもありました。

8月

  • 風邪を引き、更に疲れが噴き出たのかアトピーが悪化して体調を持ち崩す。
  • 月半ばでこれは限界と就活は一旦ストップ。
  • すぐに再就職する気だったためもらうつもりのなかった失業保険の手続き。
  • やっと残業代の請求を内容証明で送る。
  • 伸び伸びにしていた少々遠方のかかりつけの病院へ行く。
  • 生活は夜型に。
  • 8月下旬からは次第に生活リズムも朝方に。

この時期は暑さもあって、体調をかなり崩していました。
精神的にもかなり疲れていたのか、お皿を洗ったり洗濯をしたりという基本的な家事もなかなかこなせず。
元々、子供の頃から夜型のため昼夜逆転はしやすい質です。

思い返せば、7月~8月はもしかしたら少々うつ気味だったのかなと思います。
なにをしてもあまり楽しくないし、気分も沈みがちに。
こうなっては仕方がないと、やりたいゲームを思う存分やって、夜型生活を気のすむまで送ろうと決めました。

8月下旬に未払残業代の内容証明を送った辺りからは、病院に行ったことや、一番心に引っかかっていたことを片付けたせいなのか、気分や体調も徐々に上向きに。
家事程度は以前と同様にこなせるように。

また、一個ずつでもやらないといけないことを片付けようと、タスクの洗い出しをする。

9月(現在進行中)

  • 未払残業代の内容証明で指定した期日を過ぎても反応がないため、労働基準監督署へ。
  • ずっと気にかかっていた本の処分。
  • 部屋の片づけ。
  • 就活の再開。
  • ほとんど朝方の生活に変化。
  • ゲームなどの逃避行動は徐々に減り、家事をしたり用事を済ませたり、ブログを書く気になってくる。
  • 元々生理不順だったのだが、実は今年に入って月経が8か月止まっていた。もしも病気があったら……と恐れていた産婦人科についに来院。

未払残業代の件について動いたことで、明らかに徐々に気分が上向きになってきています。
また、失業保険の受給日が近くなってきて、お金について少しだけ安心したことも大きいでしょう。

気分が沈んでいると家事にしろ色々な手続きにしろ、タスクを山のように感じて嫌気がさしてきます。
けれど一日ひとつでもやって『ひとつ用事が済んだ。少しずつできるようになってる。今日はこれで充分』と自分を肯定してやっているのも効いている気がします。

月経が止まっていたのも不安でしたが、診察の結果子宮に異常はないしストレスでは、ということで病気ではなさそうです。

更に、沈んでばかりいた気分の中に、怒りらしきものも徐々に復活してきました。
未払残業代の件で言ってしまえば被害を受けていた自分が、何だってこんなに手間暇かけた上に思い悩まなければならないのか?
そもそも内容証明を無視ってありえないでしょう?
残業代時給500円代で本当に問題ないと思っていたのか? 東京の最低賃金を下回ってるぞ!
……などなど。

まとめ

何というか先方に対してこういう怒りを徐々に感じて来るようになったのは悪い傾向ではないような気がします。
7月から8月を思い返すに、怒るエネルギーすらなかったのではないでしょうか?

一体何だって『未払残業代を請求するのがお門違いなのではないか』と思ってしまっていたかというと、ことあるごとに社長から言われていた『前任の人は今ふたりでやっている仕事を全部ひとりでやっていた』『他の人は一か月もすれば仕事を回していた』『考え方がおかしい』という言葉で、自分は無能なのではないか、おかしいのではないか……と感じてしまっていたことが大きな原因なのでは、と思います。

しかし、確かに能力不足はあったのかも知れませんが、決して業務をサボっていたとか手を抜いていた訳ではないし、少なくとも残業代は勤務時間に対する正当な報酬です。

と考えるまでに2か月近くもかかってしまいました。
まだきちんと振り込まれるかはわかりませんが、その内残業代の計算方法もまとめてみようかなあと思っています。

時間はかかりましたが、ちょっとずつ前進はしているような気はしています。

あとは就活がうまくいって、今度こそはきちんとした会社に行ければ言うことはないです。頑張ろー。

*1:ここで細かく述べると愚痴にしかならないので機会があればそのうちに

休息期間は米を炊く

4月の始めに転職した会社を退職いたしました。といっても辞めてから既に1ヶ月程経ちます。

退職した理由についてはその内整理して書くつもりですが、まあ、色々あった(辞めてから1ヶ月経つ今も現在進行中)のです。

辞めた今は三ヶ月、少々身体と精神に無理をさせてきたツケがきたのかアトピーがかなり悪化してしまいまして、就活の傍ら身体も休めているという感じ。
アトピーの症状は疲れやストレス、外的環境の影響を相当に受けるのですが、私は患部が顔メインということもあり、目も開けづらく、表情を動かすにも顔の皮がつっぱり、火傷のように真っ赤に皮が剥けた状態で外に出るのはそれだけでストレスのため、用事がなければ基本的に外出はしない方向で過ごしています。
汗や日光、外気なんかはそれだけで刺激になってしまいますし。

それはさておき、時間だけはたくさんある無職の状態が数年ぶりに来た訳なのでした。

ところで、勤務している時は毎日21時過ぎ、時にはもっと遅くの帰宅が当たり前で、そこから食事を拵える余力もなかったので普段の生活は荒れに荒れておりました。
暇な時間を利用してなにか勉強でもやろうかなと思ったのですが、アトピーが少し落ち着くまではなにもしない、でいいことにして、日々の食生活に少しだけ手間をかけて自炊することにしました。

といっても米を鍋で炊いて、味噌汁を食事の度に作るようにしただけなので、そう大したこともありません。
米を鍋で炊くのも案外簡単ですし(参照 )、お焦げが好きなのでうまく炊けるとそれだけでちょっと嬉しい。

そういうことを始めると、何にもしない生活の中に少しだけリズムというものが生まれました。

洗濯機を回し始める。
米を研ぐ。
米に30分から1時間ほど吸水させる。
吸水している間に軽く掃除する。
火を着けて10分程放置。
その間に洗濯物を干す。
火を止めて10分蒸らす。
蒸らし中に味噌汁を作る。
食べる。
食事後、必然なら食材の買い物に行く。

作業手順さえ組み立ててしまえばあまり考える必要がないルーチンワークのようなものですが、米の準備をしている間に大方の家事が終わるので、私にとってはちょうどいい時間の区切り方だと思います。
朝ご飯のときにやるとぴたりとハマる感があってなんとなく気分が上向きになるのです。

気分が落ちているときでもなにかひとつ、こういう合間合間に待ち時間のあることを習慣に取り入れると、自然と『この間にあれしとこう』という思考が働くようです。

こういう生活をしていて思うのが、やはり仕事が忙しいと日々の生活にまで割くリソースが本当になくなる、ということです。
それは体力や時間だけでなく精神的な部分でも顕著で、もうとにかく家事が面倒臭い、食事も食べたいものが思いつかないし考えたくない、という状態になります。

思うに、人それぞれ体力、精神力の量には定量があって、私は仕事でそれを使い切ってしまいがちなタイプのようです。大体1日総計して6時間も仕事に打ち込んでいるとそこから先どうしてもがっくりと能率が落ちます。
これは休憩を取っても甘いものを食べても大して変わりません。
たぶん、集中力がもつのがそのくらいの時間、ということなのではないでしょうか。
大抵の会社は1日8時間勤務が定められた労働時間なので、私が集中力がない方なのかな、と落ち込んだ時期もありましたが、見ていると他の人もなんだかんだ休憩挟んだり、ちょっと息抜きに細かい作業を挟んだりしているので、案外と人並みなのでは、と思うようになりました。

この6時間というのは、一時期仕事の作業状況を逐一報告していた頃、やったこと、かかった時間などの記録をしながら気づいたものです。
更に言うなら、本当にその日コアでやらなければいけない仕事に関しては4時間程度で集中的に進めており、実質勤務時間の半分程度で仕事の7割方は完了させていた計算になります。

ということをつらつら考えながらお米を炊く話に戻りますが、吸水から多く見積もっても1時間半程度でその日の家事はかなりの部分終わってしまう訳でして、本当に集中できる時間を4時間としても、残り2時間半程度はなにかしらができるリソースが残されていることになります。
買い物する時間を入れたとしても2時間程度はある訳です。

毎日2時間、遊んだとしてもいいのでしすが、それ以外に何か継続してやるとしたら何がいいのかな、と寝っ転がりながら考えてみたりもするのですが、勉強かなあという結論に行き着きます。

ただ私の場合特に今すぐ必要ではないことを自習に任せているとだらだらしてしまうだけ、になりがちなので(英語の勉強がいい例)、やるのであれば対面形式でレッスンを受けた方が程々のプレッシャーになるのかな、と思います。

今後、自分がどういう人生を歩んでいくにせよ、日本以外の情報入手方法がある方がより良い選択の助けになるでしょうし、オンラインの英語のレッスンでもやってみようかなあなんて米を研いだり洗濯物を干したりしながらつらつらと考える休息期間です。

転職したので仕事の環境をGoogleの機能中心にしてみた

このたび転職しました。桜がちらほら咲いている中新しい職場に通う……というのは新卒でもないのになんだか不思議な気分です。
先週から勤務が始まり試用期間中でまだ仕事にも慣れず、知らないことは山ほどあり、要領がわからないことや初めて体験する状況に目の回るような日々です。

表題ですが、新しい会社は特に個人の仕事環境を指定はないので、メインはgoogleの各種機能中心で、社内連絡補助にチャットワークとしてみました。あれこれ設定の最中です。

Googleの機能中心にした理由

下記の機能で一通り会社での業務がカバーできそうだと考えたため。使う機能は下記。

個々の機能ならGoogle製より使いやすいものも他にあると思うのですが、仕事に関する情報を分散させたくなかったので、『とりあえずgoogleにアクセスすればOK』という状態にすることを目指しています。

容量の問題について

クライアントからのメールに添付ファイルが多いため、容量が15G(2017.04.13現在)というのがネックではあります。
そため会社のPCのOutLookでもメールを受信して、いよいよとなったら容量が大きいメールは順次削除していくつもりです。
月額¥250で100Gまでの追加容量が購入できるので、どうしてもの場合はそれも検討に入れようかと。

チャットワークを補助とした理由

前任の方が使っていたという理由もありますが、社内でのやり取りでメール件数を増やすのも後々手間が増えるため、使い分けをすることにしました。
チャットワークは社内で頻繁に発生する「ここのURL/フォルダ見てください」など、メールで送るほどでもなく、しかし口頭で伝えると地味に手間がかかるようなことだけに使用する程度です。
ファイルは基本送らず、そういうものは社内サーバに置いてディレクトリのみ伝えるようにしています。

補足:skypeでない理由

前職では個別のプロジェクトの中では主にSkypeを使用していたのですが、実は結構問題がありました。

  • 発言が流れてしまい、過去にさかのぼるのが難しい
  • 既読やタスク完了という機能がないため発言が入り乱れてくると「依頼した作業が完了したか」の見落としが発生する
  • 重要発言のクリップができない
  • skype上でファイル送信をすると、社内サーバへのアップを忘れてファイルが行方不明になることが多い

など、大きく分けて履歴の参照・ファイルの共有と保存・タスクチェックにおいて問題が発生していました。

Googleの各種機能の運用について

Gmail

大きなメリットとしては下記です。

  • 会社のアドレスを送受信アドレスに指定すればGoogle上で扱える
  • メール内容の検索・ラベル分けが楽
  • PCを起動しなくてもメールが受信できる
  • PCを起動しなくてもメールが転送できる
  • ネットアクセスさえすればどこからでもメールの確認ができる

『ネットアクセスさえすればどこからでもメールの確認ができる』というのは、社外からというより社内での恩恵が大きいです。
自分のPC以外を使う必要がある際でも、メールを参照したり送信したりができるので楽です。

特別な設定はこれといってしていないのですが、大体次のような設定をしています。

  • 送受信メールに会社のアドレスを設定
  • 署名の設定
  • 返信時のデフォルトの動作:全員に返信
  • スレッド表示:OFF
  • 送信取り消し:30秒
  • チャット:OFF
  • (Lab)プレビューパネル:ON(垂直分割)
  • スター:全色使用

メールを送ったあと「しまった」と思うことがときどきあるため、送信取り消し時間は最大の30秒取っています。これがすごく便利。
メールは基本的にブラウザ上で送受信しているのですが、普通のメールソフトと比較しても不自由は感じませんでした。

補助としてoutlook

Googleのメール容量は有限なので、いつかは容量いっぱいになる日がきます。
その場合は追加容量を購入するか、サイズの大きなメールは削除するかの二択になるのですが、古いメールに関してはoutlookを保管庫として削除をまずしようかと考えています。
また、outlookには既に届いているのにgmailには届いていない、あるいはその逆ということも発生するので、補助としての位置づけは出ませんがoutlookは常時起動しています。

Google連絡先

これに関しては、メールをよく送信する人から気づいた順に登録していっています。とはいえ相手のメールに返信すれば、その方が登録した名前がそのまま出てしまうし、所属が複数社に渡っていたり、苗字しかわからない、なんてこともままあるので、基本はメールアドレスで見分けている感じです。
現状だと、メールの署名から情報を拾ってる人も多いです。
補助としてわかる人はメモ欄にフルネームやちょっとした情報を書き込んだりもします。

Googleドライブ

  • ファイルの共有がしやすい
  • 検索機能が充実している
  • 画像やpsdなどがプレビューされる(地味に便利)

……とはいっても会社で補完すべきファイルはきちんと会社のサーバーに置いておくつもりですし、なによりメールの容量に充てたいのであまり大きなものでは使う予定はないのですが。
手元に保管しておきたいちょっとしたものは基本的にここに入れておこうと考えています。

Googleドキュメント

  • ファイルの共有がしやすい
  • 検索機能が充実している

これに尽きるかなあと思います。自分用マニュアルなんか置いておくと、他の人のパソコンを使ったときとても便利です。
スプレッドシートは独自関数などもあってExcelと同じかそれ以上に便利なことも多いですし、なによりGoogleドキュメントは容量を使わないらしいのです。
今はローカルに散らばっている自分用メモも、徐々にドキュメントに集めていきたいと考えています。

Googleカレンダー

これはこまごました予定を入れると言うよりは、大体決まった周期や大きな予定を入れることにしています。
たとえば月初に毎回やる作業だとかそういうのです。
一日単位で終わりそうなものについては次項目の「Google Keep」に入れます。

Google Keep

こちらは用が終わったら捨ててしまうふせんのようにして使おうと思っています。その日やることをTodoでまとめるとか、ちょっとメモしておきたいとかそういう感じです。
画像も貼れるのでそういうところも合わせて活用していきたいですね。

職場での環境構築は何度やっても大変

転職に限らず、新しいPCに変えるとか、人のPCを使わなければならないとか、どうしてもハード面で環境構築がリセットされてしまうシーンはあるものの、必要な情報に問題なくアクセスできるのであれば割となんとかなることも多いです。
そのためにはとにかく情報を集約してしまうというのがひとつの方法ですが、今回はそれもあって試験的にGoogleに集約してみました。
冒頭で述べた通り個々の機能としてはGoogle製のものより使いやすいツールが世の中にはたくさんあると思います。しかしメールからファイル保管、スケジュール管理、メモ機能などが網羅されていること、という条件だとあまりないのではないでしょうか。

やってみた結果としては、まだ二週間弱ですがそこそこにうまく回っている感じです。
あとは業務の流れを覚えた頃合いでスプレッドシートでデータを関数処理をしたり、そういうことができるようになればいいなと考えています。

余談:実は一番苦労する暗黙のルール

なにしろ前の職場では静的なhtml・CSSコーディングのみしか組んでおらず、サーバ関係や複雑なプログラミングはエンジニアの方にお願いできたので……サーバ知識がないのにそういった設定やSNS運用など未知の業務も加わり、毎日ひいひい言いながら過ごしています。

今までは割とあっという間に日々が早く過ぎていましたが、新しい職場に行ってからは毎日「わからん!」の連続のせいか、勤務開始からまだ二週間も経っていないというのが嘘のよう……シャネーの法則なんでしょうか。

まあ、そんな風にそれぞれの会社でやり方がまったく違うのは当然ですが、中でも一番差が出るのは暗黙のルールの部分。
知らないととんでもない地雷を踏むことがあり、明文化されない分、一番厄介でもあります(理不尽なものやサビ残など法に違反していたり、社内外の政治にも関わっているので明文化できるものでもないですが……)。

正直なところ、私はこれを把握するのは非常に苦手な人間で……。
という訳で、入社してしばらくは下記を心掛けてなるべく暗黙のルールを見定めるようにしています。

  • 勝手にやらない、触らない、使わない
  • やるなら事前に確認を取る(これ使って良いですかなど)
  • 電話やメールに注意を向けておく
  • 早めにキーパーソンを見極める

こればかりは地道な情報収集しか手はないと思っています。

HTMLコーダーのリスクマネジメントの話

コーディングの仕事中、「あ、これはまずいな」と感じるときがあります。

しかしコーディングまで回ってきた段階では既に決定事項であったり、期限が迫っている等の理由で上流工程へのバックがきかない状況になっていることが少なくありません。

コーダーというのは実装――つまり下流工程に位置しているため、作業の遅れや上流工程での想定不足といった部分の煽りを食らってしまいがちです。

そういう場合どうやって危険を察知するのか、そしてリスク管理するのか、というのが今回の記事の主題です。

目次

リスクを察知する5つの方法

  1. 危ないパターンに対する経験値を溜める
  2. プロジェクトに関わる人の情報を把握する
  3. 要素の目的を自分なりに推測して、その是非を考えるようにする
  4. 視点を切り替えて考える癖をつける
  5. 危険なワードのストックをする

危ないパターンに対する経験値を溜める

これに関して言うと、正直なところゲームで言う『死にゲー』みたいなものでして、何度も何度もプレイすることで死ぬポイントを体感で覚えるというそれに近いです。

しかし言っておいていきなりですが、

  • 社内で運用のディレクター経験があり
  • 同じディレクター・デザイナーと何度も組んだことがあり
  • クライアントの業種も毎回ほぼ同じ

という条件が重なったことによるところも大きく、仮に他の業種のサイト制作を担当したらあまり役に立たないのかも知れません。

プロジェクトに関わる人の情報を把握する

人に基づくパターン把握と予測はそれなりに有用です。

情報収集の方法としては、

  • クライアントとのやりとりのメールを見る
  • 電話の声のトーンに意識を傾ける
  • ディレクターやデザイナーの癖を蓄積する

といった具合です。

同じ人は同じことを繰り返す傾向があります。

癖を理解していれば予測も立てやすいですし、先手を打てる場合も。

また、コーダーは直接折衝することはありませんが、クライアントのタイプを大雑把にでも把握していると、リスク回避に役立つことも多いです。

要素の目的を自分なりに推測して、その是非を考えるようにする

デザインの勉強を少しずつしていく内に、サイト要素の配置は論理の積み重ねだということが少しずつわかってきました。

  • このバナーがここに配置されているのは推したいコンテンツだろうか。
  • 推したいコンテンツはこれで、だからこの配置なのだろうか。
  • この部分のテキストの色が違うが別の部分より目立たせたいのだろうか。
  • ボタンがこの位置にあるが導線をこう確保したいのだろうか。

などなど考えると大体の流れや目的がわかったりすることも多いのですが、そこに馴染まないものが紛れ込んでいて違和感を覚えることがあります。

違和感というのは私の場合、

  • クライアントの発言から推測される目的が達成できそうにない
  • 要素が整理されていない
  • そもそも目的の推測さえできない謎の要素がある

という辺りから発生しているようです。

具体的な例を挙げると、

  • コンテンツの順番や配置が不合理
  • ざっと目を通しただけでもまとまりのない文章だと感じる
  • リンク先指示さえない、押してなにが起こるか不明な謎のボタンがある
  • 導線がはっきりしない
  • デザインがしっくりきていない
  • 項目が異様なほどたくさんあるが整理がされていない
  • リストの種類などがいくつもあるが『その装飾はどういったときに使うのか』の基準がよくわからない
  • 仕様がはっきりしない

といった、危険信号がいくつもあります。

一見小綺麗なサイトでもカンプを見てこういった嫌な感じがすると、やはり異様に修正や追加が多いなどの難航案件になることが多いです。

視点を切り替えて考える癖をつける

ロールプレイをするつもりで『若い女性だったら/年配の男性だったら/親だったら/クライアントだったら』……など、他人の視点でサイトを眺めます。

大体1~5分くらいでざっくりと(サイトは開いて数十秒しか閲覧されないケースも多いので)トップページを上から下まで眺めながら、ボタンや要素の位置をざっと見て『サイトを閲覧する目的を達成できるか?』を考えます。

ペルソナは大体下記のような感じで、サイトのコンテンツに合いそうな属性を適当に入れています。

  • 23歳女性
  • →社会人1年目、ネットはスマホメイン、趣味ネイル
  • 28歳男性
  • →社会人5年目中堅、ネットはじっくり見るときはPC、外出先はスマホ、趣味スポーツ

他、クライアントの視点作りには日頃からメールのやりとりなどを見ておいて、どの変にこだわりを持っているのかなどある程度の嗜好や性格を把握するよう努めておいたりもします。

こういう風に視点を切り替えて見ていると、年配の男性にはちょっとわかりづらそうだなとか、連絡先がすぐに見当たらないなとか、この部分はクライアントがあとで追加要望してきそうだなあとか細々気づくことがあります。

デザインカンプを受け取った際、あまりに各視点で使いづらさや見づらさを感じるもの、クライアントの目的に会っていなさそうなもの、性格的に好みそうでないものがあればあたりをつけおきます。

そういうところは高確率で後々修正が入ったりしますし、作業着手はしないまでも仮に改善するとしたら、と簡単にでも案と工程を考えておくと役に立ったりします。

危険なワードのストックをする

たとえば一般的なところでいうと、なるはや、優先、緊急対応などのワードが入り始めたら警戒を始めます。本当ならどれもあってはならないからです。

その他『この人の名前が出たら難航しやすい』という社内ローカルなものまで、これが出たら危険なワードというのをひっそりストックしています。

下流工程なりのリスクマネジメント

サイト実装という工程の最下流を担当していると、リスク回避の手法としてできることはそこまで多くありません。

冒頭で述べた通り、『既に決まってしまっていて上流工程にバックできない』という状況であることが多々あるからです。

これには締め切りが決まっていてバックする時間がないということも含まれます。

しかし手をこまねいていても仕方がないので、できる範囲で下記ようなことをしてリスク回避を試みています。

上流工程の動向を把握する

上流工程の部分で調整するのが一番効果が高いので、できる場合は以下のようなことをやっています。

  • 上流工程の動向を見ておいて、違和感のある場合確認を入れてみる
  • 何度も修正が来る場合は言われた修正をただ行うのではなく、再度依頼がきたタイミングで提案をする
  • クライアントの依頼の原文を見て、依頼の内容との齟齬を確認する

コーダーまで情報が流れてこない場合も多々あるのですが、そもそもなぜやるか、どうしてそうなったのかを知っているのと知らないのとではだいぶ効率も変わってきます。

作業者が陥りやすいことですが、言われたことを理由や流れを理解せずに言われたままにやるのは、それ自体がリスクです。

時間や状況的にできないこともありますが、可能な限りは上流工程の動向を見ていると色々把握しやすくなります。

あえて作り込まない箇所を見極める

今はCSS3がかなり使えるようになってきているので、画像を使わずに再現できる範囲は広くなってきています。

メンテナンスしやすくなるので、特にテキストなどの変更が多そうな箇所は作りこんだ方がいいのです。本当は。

しかし、コーディングでの作りこみはそれなりに手間がかかります。

下手をすると単純にPC/スマホタブレットで別々の画像を準備するより時間が必要です。

しかも再修正依頼がきたら、作り込みに要した作業時間がそっくり無駄になってしまいます。

加えて『またやり直し』というのは精神的にも、時間的にもダメージが結構きてしまうもので……。

それを回避するために、下記のような箇所は、あえてコーディングでは作りこまず簡単な方法で実装するという手段を取ることがあります。

明らかに短期的にしか掲載しない箇所

たとえば突発的なイベントのバナーや、ちょっとしたお知らせや注意書きの付記などがそれにあたります。

こういう部分を更新が容易なよう作り込みしてもいずれは消えることがほとんどですし、htmlファイルから該当箇所を削除してもCSSにコードが残ったりと、CSSファイルを肥大化させる原因にもなります。

そういう場合は、

  • 可能な限り汎用的なClassを組み合わせて対処する
  • 単に画像を貼るだけで済ませる
  • インラインCSSで済ませる

等の対処で『その部分』しかソースコードを残さないようにしています。

違和感を感じる箇所

依頼やデザインを確認して、サイトの構成として奇妙だと感じることがあります。

『とりあえず見たいから作ってくれ』と模索のために気軽に依頼してくるから起こることも多い問題なのですが、結果、何度も何度も修正に付き合わされることも少なくありません。

しかしながら、こういった『とりあえず』と『デザイン模索』全てに全力で応じていたら、残念ながらリソースが圧迫されてしまいます。

そういう訳で、違和感が残る内は*1コーディングでの作り込みはせず、画像を貼るだけなど一番楽な実装方法で済ませてしまいます。

どう考えても画像で掲載した方が良さそうな箇所

CSSでできる範囲は広がりましたが、残念ながら万能ではありません。画像で表現した方が良い場合というのは確実にあります。

そういう部分は無理にCSSで対処せず、画像での表現に任せることにしています。

修正内容を見越して準備しておく

来るとしたらどういう修正になりそうか、あらかじめ予測して準備しておきます。

量産フェーズに入る前に、特にコーディングの根底に関わりそうな部分はなるべく修正が楽なようにしておきます。

期限の調整

なるべく複数案件の締め切りを重複させない

複数案件の締め切りが同じ時期に重複するのは、それだけでリスク要因です。

Web制作はどうしても波のある仕事だと思います。波の発生原因は色々ありますが、いずれにせよ実装担当は遅れの吸収をしなければならないことが多い役割です。

また、締め切り間際に思わぬ作業が舞い込んだりすることもよくある話で。

なので依頼締め切りが重複した場合、期限の調整をお願いするようにしています。

ずらさなかったとしても普通に間に合いそうな場合もよくありますが、それでも可能なら調整を申し出ます。

いつでも最速・最短を見越して予定を立てるとトラブル時リカバリーがききませんので、余裕はできるだけもらっておくに越したことはありません。

状況によっては作業が完了してもあえて手元に置いておく

仕事が終わったらできるだけ早く報告すべきではありますが、あえてすぐ報告せずに手元に置いておくこともあります。

それは以下の場合。

  • 五月雨で追加依頼が来る
  • 『なるはや』や割り込みが常習化している

これは『割り込み頻度をこちらでコントロールする』ことを目的にしています。

作業はまとめてやった方が効率がいいし、割り込みが増えると単純に集中が切れやすくなって良いことがありません。

また、作業の『なるはや』や割り込みが常習化するのも避けるべき事態です。

本来ならディレクション側で行うべきことでもあるのですが、それが期待できないときは頭に入れておいても良い方法と思います。

ストックを増やす

ソースコードのストック

これは他の人もやっていることではないでしょうか。

コーディングをしていると、「前も似たようなことを書いたな」ということがかなりあります。そういう場合、部品別にソースコードを参照できるようにストックしておくと楽になります。

また、CSSで再現している見出しスタイルをまとめたサイトなどもストックしておくとそのままでは使えないとしても「こういうことはできる」というのはわかるので、有用です。

プラグインのストック

よく使うスライダー、入れてくれと頻繁に求められる機能は、すぐに入れられるように調整した上でストックしておきます。

また、使えそうなプラグインも暇を見てストックに入れたりもします。

調整まで済ませておくと、いざ追加や修正依頼がきたとき手早くできます。

案件終了後にテンプレートを見直して改善する

コーディングをする人なら、大抵基本のワンセットをまとめたテンプレートを作っているのではないでしょうか。

私の場合だと、

  • 基本のひな型htmlファイル
  • 古いブラウザ対応用のプラグイン
  • リセットCSS
  • 基本設定や部品を入れたCSS
  • よく使うjQueryセット

……をまとめておいて、これを案件毎にコピーして使用します。

比較的シンプルにして余分な要素は省いています。

そして案件が終わったときに元々のテンプレートの使いにくかった点を細々修正して、マイナーアップデートを繰り返します。

地味なことですが、元のテンプレートをアップデートをしていかないと、使いにくい部分やミスが以降の案件でも発生し、また修正に時間を取られる……ということになってしまいます。

案件終了毎にテンプレートの見直しをするのは時間がかかりますが、長期的にはペイできているのではないかなと思っています。

つい最近大きく変えたことは、要素の横並びにflexboxを使用するようにしたこと。少し前はfloatで並べていましたが、それと比べると非常に楽です。

情報共有

弊社の場合基本的に案件は個人単位で完結してしまうのですが、担当中の案件の簡易な情報を共有メモに残したり、ファイルに関してはローカルに抱え込まず、他の人が見たときに最新ファイルがわかりやすいようにしています。

また、ソースコードには適宜コメントを残すように。

個人で仕事が完結してしまうことがほとんどなので、やらなかったとしてもあまり影響は出ませんが、万一ということがあるので習慣として行っています。

情報の記録・分析

やった作業やかかった時間、感想などを簡単にメモして残し、ときどき振り返っています。

上で述べたような、人の癖や傾向を把握する際役立ちますし、ストック作りのヒントや、そのほか全体として眺めると一定の傾向が見えたりします。また、自分の傾向を知るのにも役立ちます。

その際改善できそうな部分は改善に着手しますし、無理そうなら頭にだけ留めておくなど、記録を取っておくとなにかと便利です。

まとめ

フロントエンドエンジニアやコーダーは一体どうやってリスクマネジメントをしているのだろう、と思って調べた結果、あまりそういうことを書いている人がいないのがこのエントリーを書いた動機でした。

大体がコーディングを早くするとかツールを使うとかスキルを高めるとかそういう話ばかりで、確かにそれは大切なことなのですが、自分の求める情報ではないな、と思ったのです。

それで書いてみた結果、コーディングという枠にだけ閉じこもっていたらできることは少ないなあと感じた次第です。

ディレクションはディレクターの役目。

デザインはデザイナーの役目。

コーディングはコーダーの役目。

サイト制作の目標を決めるのはクライアントの役目。

……というのは分業化が進む昨今間違いではないのですが、それだと特に下流工程のコーダーは波に振り回されるだけになってしまいます。

職分を無理にはみ出すつもりはないのですが、リスクを察知する・回避するという視点に立った場合、『依頼をこなすだけ』という以上のことをどうしても考えざるを得ない訳で。

あれこれ本を読みながら、結局ディレクターのこと、デザイナーのこと、クライアントのことを知らないといけないのだなということに思い至って、拙いながら上記のことを考えながら仕事をしています。

余談:将来の仕事について

また将来を考えた場合、いずれコーディングの仕事は機械に取って代わられてしまうであろうと私は思っています。

現在でも既に(制限はありますが)直感的なUIによって部品を組み合わせるだけでサイトが作れるようになっていますし、この流れはもっと進むのではないでしょうか。

また、今のhtmlというもの自体ががらっと変わってしまうことも考えられます。

そうなると人間としてできる仕事は、『なにをするのか』『なぜそれをやるのか』『どうやるのか』を考えることがメインになると思います。

すぐという話ではないにしても、サイト制作というのは結局そういう方向に行きつくと思うので、リスクマネジメントとして『コーディングだけしかできない・しない』にならないように気を付けているという面もあります。

勉強用に読んだ本

第一線のプロがホンネで教える 超実践的 Webディレクターの教科書

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ノンデザイナーズ・デザインブック [フルカラー新装増補版]

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デザインの教室 手を動かして学ぶデザイントレーニング(CDROM付)

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センスは知識からはじまる

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問題解決に効く「行為のデザイン」思考法

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*1:ただし提案できる場合は見本に作ることもある