【書評】他人を攻撃せずにはいられない人
何にもしていないのに嫌われる、ということ
愚痴を聞いていて、「そりゃああなた、相手に嫌われてるんじゃない?」と忌憚のない感想を言ったところ、「何にもしてない!」という言葉が返ってきました。
『相手に嫌われているのでは?』という感想を持った理由は(双方の言い分を聞いた訳ではないにしても)客観的に見て確かにやり口が陰険だなあというところがあったからです。
プラス、他人を攻撃せずにはいられない人 という本を読んだところでもありまして。
そこで『何にもしていないのに嫌われる』って結構良く聞く言葉だな……と思った訳です。
極論を言えば『相手の視界に入る』ということをしている
これを言ってしまうと身も蓋もないのですが、そういうことなんです。
既にこの時点で『何にもしていない』というのは成立しません。
嫌われる方にとっては理不尽極まりないですが。
もちろん、嫌われる原因がある場合もあるでしょうし、まずは『自分は何かしただろうか』と振り返ることも大事ですけど、本当に何にもした覚えがなければ気に病んでも仕方ないと思うのです(そもそも『自分の問題に気づけない』というメンタリティかも知れませんし)。
というのは下記にあるのですが、相手の問題で嫌われているということもあるし、たまたまそこにいただけで攻撃が開始されることもあるからです。
『嫌う理由』は予測がつかない
嫌う理由なんて、いくらでもあるんですよね。
- 口癖が気に障る
- 自分よりモテる
- お金持ちだ
- 何か幸せそう
- 仕事ができない
- 気が利かない
- 服の趣味が気に食わない
- etc…
『嫌う』というのは嫌う方の問題である場合も多いと私は考えています。
とある口癖にカチンとくるのはコンプレックスに障るからなのかも知れないし、
相手が何の苦労もなく(と感じて)お金をたくさん持っているのが妬ましく思うのかも知れない。
もっと言えば、本当に『たまたまそこに居た』というだけで嫌ったりすることもあり得ます。
もちろん、不潔だとかそういう明らかに本人が改善できることが原因だということは除くとして、人が人を嫌うのに大した理由は必要ないものです。
結局のところ、何がどう相手の気持ちを『嫌い』に傾かせるかなんて、完全に把握できません。
攻撃欲の強い人は、自分がその場を支配できないとか、影響力を行使できないという状況に直面すると、強い不安にさいなまれるからである。そこで、そういう事態を極力避けるために、自分の思い通りに操作できるよう策を弄することになる。
とある通り、(本人は意識していなくても)根底には不安とか恐怖があって誰かを攻撃せずにはいられない面も大きいかと思います。
【読書感想】他人を攻撃せずにはいられない人 - 琥珀色の戯言
要するに、「あなたに落ち度があるから、ターゲットにされる」のではなく、「自分の攻撃欲を満たしたいので、それに適した人間に目をつけているだけ」なんですよ。
同じ本を読んだ方の書評なのですが、この部分に私も非常に同感です。
対処法は?
じゃあ一体どうしたらいいの、という話ですが、取れるパターンはあまり多くないんですよね。
- 相手から離れる
- 相手を潰す(追い出す)
- 和解する
- 放置する
- 相手に合わせる
実行できるなら一番早くて確実なのは1ですが、現状維持なら4・5。2・3は『直接対処』ということになり相当の労力が必要という順になるでしょうか。5をするなら、3との合わせ技になるかも知れません。
本の中でも相手から離れる、というのがやはり確実だと述べられていて。
とはいえ、離れることもできず、嫌われていても実害がないなら(例えば仕事や相手以外との人間関係にまで齟齬が出ないのであれば)、放置しつつ、波風を立てない程度に相手に合わせるのが現実的なラインだよなあ……という結論に達します。
要するに、真面目に向き合えば向き合う程自分が消耗していくだけの相手というのは確実に居ますし、そういう相手かどうか早めに見極めるのが肝心ということになります。
相手がまともな人なら和解の努力も報われるかも知れませんけど……でも、攻撃欲の強いタイプだと、好かれても厄介、という問題もあるので、やっぱり関わらない・なるべく距離を置くというのが最適解かと思います。
対処が必要なラインをどこに置くか
明らかに実害がある場合は、放置以外の手段を取ってどうにかしなければなりません。
この『明らかに』というのが難しいところでもありますけど、仕事の邪魔をされる、第三者にあることないこと吹き込まれる、物を壊したり隠したりされる、などは実害に入れてもいいんじゃないかなぁとは個人的に思います。
そういう時に物を言うのはやっぱり『証拠』な訳で、しかし冒頭の愚痴を聞いた時に尋ねたらそんなものはない、ということでした。
録画まではいかないとしても録音、写真、日記、第三者の証言……など、身を守るためにはいくつかの手段を考えておかなければならないし、相手が自分よりも上の立場であるなら、なおさらそうせざるを得ません。
また、そもそも攻撃されていることになかなか気が付かなかったり、他人が聞いても『その程度』にしか感じない攻撃を繰り返されて消耗するパターンもあります。
なので、『この人と関わっていると疲れる』ということがあればかなり危険サインだし、対処が必要なラインだと思うのです。
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