勉強のために、洋書を汚しても構わないと割り切ってみた
今年の抱負で言った通り、少しずつグリム名作選 The Best of Grimm's Fairy Tales (ラダーシリーズ Level 1)を読んでいます。
しかし、児童書でさえなかなか読み切るのが難しいので、あれこれと対策を講じました。
目次
対策その1:辞書と考えて、汚しても構わないと割り切る
本はなるべく綺麗に読む・ラインも引かないというのが信条だったのですが、ラダーシリーズのレベル1の場合、作中で使われている1000語が簡易辞書として巻末にまとめられています。
つまり、洋書+辞書のセットという見方もできるかな、と考えました。
そこで写真のように本にシャーペンを本に引っかけておいて鞄に入れておき、調べた単語の横には「正」の字で辞書を引いた回数をカウントする、という昔ながらの方法を取ってみました。
ただ、ペンはさすがに抵抗があるので、シャープペンシルを採用しています。
辞書部分なら色ペンを使ったりしてもいいのかも知れませんが、本文は消せない書き込みをすると気になりそうで……。
童話の本文のところにはあまり書き込みはしませんが、気になる言い回しだったり、後で別の辞書でも調べてみたいと感じたところは薄めにアンダーラインを引いたりしています。
このやり方ですが、わたしの外国語学習法 (ちくま学芸文庫)*1で学習の最初から本を読むことと辞書を引くことが推奨されているのですが、なにより下記の言葉にはっとしたので始めてみました。
本はポケットに突っ込んでもいいし、部屋の隅におっぽり出してもいいし、書き込みで真っ黒にしても、バラバラに分解してもいいのです。たとえ無くしたとしても、また買うこともできるのです。かばんに入れてどこへでも持っていけるし、お茶を飲むときに取り出して前に置いてもいいし、何か心に高まりを覚えたときに開いてみるのもいいし、眠る前に目を走らせてもいいのです。わざわざ今回は授業に出席できないと断りの電話を入れる必要もないのです。わたしたちが不眠症に悩まされているときに、眠りを妨害したといって本は怒ったりしません。本に書いてある内容は、まるまる一気に飲み込んでもいいし、バラバラにちぎって食べても良いのです。本が持っている筋は、わたしたちを魅きつけ、わたしたちの冒険心を満たしてくれます。わたしたちが本に飽きることはあっても、本の方がわたしたちに飽きるということは決してありません。
本は、わたしたちの誠実な道づれとなってくれます。わたしたちがその本よりも成長して、他の本に同行を求めるときまで。引用:わたしの外国語学習法
辞書は、言語の錠前を開けるのに最も適した鍵です。買ったら最後、ボロボロになるまで使い古してやるべきものです。英語の《wellthumbed》(手あかだらけにした)という言い方は、本の主によって中に含まれるあらゆる可能性を汲みつくされた本の有様をよく伝えています。
引用:わたしの外国語学習法
この本の中で、著者は辞書を『耕す』と言ったり本を『酷使する』と表現したりしているのですが、ボロボロに手ずれした、使い込まれた本が目に浮かぶようです。
そういう訳で、洋書+辞書がセットになった最初の一冊を、著者に倣って『酷使する』ことにしたのでした。
ちょうど手に取ったラダーシリーズの1は中学で習う程度の単語が収録されているそうなので、この本をしっかり『耕した』ら、少しは英語が理解できるようになるのかも、という興味が沸いたというのもあります。
また、辞書部分の始まりのページにマスキングテープで耳をつけて開きやすくしてみました。
やってみて良かったこと
「正」の字で辞書を引いた回数を記録していると、どうも何度も同じ単語を引いている、というものがあります。
私の場合「then」「they」「there」や「when」「while」、「left」「live」「leave」などを非常に良く引くことがわかりました。まだ一話も読み切っていないのに、中には5回を超えてしまった単語もあります。
いずれも非常に基本的な単語です。
頭の2~3文字が同じだったり、不規則変化があり、かつ綴りが似ているものがある単語だと、自信がなくてつい辞書を引いて確かめてしまいます。
単語を見たら反射的に意味が出てきたり、文脈で不規則変化しているのか単なる左なのかの見分けがすぐつくようになれればいいのですが。
調べた回数を記録しておくと回数が多い単語は印象に残りやすくなるし、自分が一体どこにつっかかってしまうのかが見えやすくなるのかもと感じています。
本を一周するまでは単純に回数をつけていくだけのつもりですが、そのあとは調べた回数が多い単語を抜き出して単語帳にまとめたり、別で調べてみようかと考えています。
対策その2:進捗の記録
下記の記事を参考に、あらかじめ話別にページ数を数えてマス目に数字を振った紙を用意し、1ページ読んだらマス目を一個塗り潰して進捗を記録しています。
(写真の、本の下の紙です)
▼参考記事
readingmonkey.blog45.fc2.com
やってみて良かったこと
確かに、ただ読むだけよりは進捗がわかるのでなんとなく進んだ気になります。
また、本の全体量が最初にわかるのが、今回はプラスに働きました。
童話の部分はタイトルページや重要単語リストと概要の説明を含んでも100ページちょっとです。
普段読んでいる本と比べればはっきり言って薄いし、各話も10~20ページくらい。
これくらいなら読み切れるのではないか……と少しだけ思えました。
対策その3:わからない単語は気になるなら飛ばさない
わたしの外国語学習法では学習の最初からいちいち単語を調べることは推奨されていません。
それだとはかどらないし、重要な単語なら文脈から意味が浮かび上がったり何度も登場する。そういった自力で理解に至る成功体験こそが重要だし面白さだと著者は述べているのですが、私は逆にわからない単語が出てくると本を放り出してしまいたくなります。
私は推理小説も後ろから読むことがあるし、物語のネタバレも好きなので、推理で頭を悩ませることは特にモチベーションになるタイプではないのです。
そもそも推測するための語彙力や文法知識もないので、わからない単語をすべて飛ばすと話の筋もほとんどわからないままになってしまいます。
という訳で、『いちいち調べてはいけない』と制限をかけられてしまうと逆に放り出すリスクが上がってしまうため、気になってしまった単語は調べても良い、ということにしました。
やってみて良かったこと
いちいち辞書を引くと読書スピードは確かに亀のようになりますが(1ページ30分以上はかかる)、文法知識がなくてもおおまかな話の筋はなんとなくわかることが多くなります。
筋がわかれば先の展開も気になるし、子供の頃読んだグリム童話にはない展開もあって、少しだけモチベーションになりました。
また、何度も引いた単語は正の字が増えていく訳ですから、近い単語を引いたときもなんとなく目に入る機会が増えます。
今のところ『気になる単語は辞書を引く』がマイナスになる段階ではないようなので、嫌にならない限りこのまま進めていこうと思いました。
まとめ:7ページ読んだだけでも進歩
こんなに長文を読むのは学生時代以来です。
「This is a pen」というお決まりのフレーズからしてつまづき、テストは単語の丸暗記で点を取ってやり過ごす……というパターンだったことから考えると、少しは進捗しているような。
元々『物語の終わりを知りたい』というモチベーションは高い方なので、少しずつこの本を『耕して』いこうと思います。
参考にした本
- 作者: ロンブカトー,Lomb Kat´o,米原万里
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2000/03/01
- メディア: 文庫
- 購入: 12人 クリック: 189回
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- 作者: 向山淳子,向山貴彦,studio ET CETRA,たかしまてつを
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2001/12/20
- メディア: 単行本
- 購入: 64人 クリック: 809回
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- 作者: 向山貴彦,たかしまてつを
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2017/03/16
- メディア: 単行本
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*1:著者のロンブ・カトーさんはハンガリーの翻訳者・通訳者。独学で十数語も外国語を身に着けた。